品種改良(育種)とは、生物を遺伝的に改良して新しい品種を作ることです。自然に起きた遺伝子の変異を利用したり、交配(掛け合わせ)によって遺伝子の組み合わせを変えたりして、目的に合う品種を作り出していきます。
選抜
集団の中から優良個体を選び出すことを「選抜」といいます。選抜した個体同士を交配して、何代にもわたって育成することで、良い遺伝子を受け継いでいきます。
同一種内の交配で実生繁殖したものから、選抜で作られた品種として、カノコユリの中から選ばれた「内田カノコユリ」、テッポウユリの「ひのもと」「長太郎」があります。これらはカノコユリ、テッポウユリそのものです。
種間交雑
異なる種同士を交配して、雑種を作ること。近縁種間では比較的簡単にできますが、遠縁の場合、胚培養などの技術が必要になります。

ウケユリ×オトメユリ

交雑してできた一代雑種個体(F1)は、両親の特性よりも優れた形質を示すことがあります。ユリの種間雑種では、花の型、色、草姿などの形態や、開花時期、草勢、耐暑性、耐病性など性質にかかわる部分で、よい特徴が現れます。
このような現象を「雑種強勢」といい、育種をする上では大切な利点です。
戻し交雑
種間雑種から選抜した個体に、元の親の片方を交配すること。遺伝子の大部分を片方の親に戻しながら、もう片方の親が持つ優れた特性を取り入れた品種を作ることができます。
テッポウユリとタカサゴユリの種間雑種である新テッポウに、テッポウユリを戻し交雑することで、見た目はテッポウユリながら、丈夫さや実生1年で開花するなどの性質はタカサゴユリの血を引くものが作られています。
多元交雑
種間雑種に、別の種を交配すること。多元交雑が進めば進むほど、交雑がしやすくなり、よい種子が取れるようになります。
オリエンタル系ハイブリッドは、19世紀後半から続く品種改良の歴史の中で、種間交雑、戻し交雑、多元交雑が繰り返されて育成されたものです。
