どんな環境の所にユリが自生しているのか、観察して参考にするとよいでしょう。方位は北から北東で、傾斜地や崖、岩の割れ目、地面に直接太陽が当たらない所、ススキの草原の中、茅葺屋根が作られていたころの茅場などが自生地です。

球根は、腐植質のない赤土の心土や砂地に生きています。暑さに弱く、寒さに強い植物です。20℃以上に地温が上がり、水分があると球根の茎盤部から腐り始めます。下根は出たばかりの新しい根と、働き盛りの根、死んでしまった根の3種類が混在し、この死んでしまった根からフザリウム菌が侵入し、茎盤部から腐ると考えられます。そのため球根の周囲に有機質肥料は厳禁、化成肥料(マグァンプ K大粒など)のみを用います。

鉢植えでは、4号鉢に1球を目安に深鉢を使います。鉢底にゴロ土を多めに入れて排水をよくし、用土は赤玉土、桐生砂、山砂などを単用して植え付けます。

地植えでは、イネ科の雑草の中で栽培します。ユリの新芽が出てくるとスギナが伸び、花が咲くころにはメヒシバやエノコログサが伸びて日陰にしてくれます。真夏には通路も含め雑草だらけになり、地温の上昇を防ぎます。草のおかげでユリの新芽がアブラムシに見つからず、媒介するウイルス病にかからず長もちします。また、ワラビが出る畑でも明るさの調整がしやすく、ササユリの栽培にぴったりです。草丈が高いヤマユリは、草から頭が出てしまい、アブラムシがつきやすく、ウイルス病にかかる比率が高くなるので、新芽がやわらかい時や蕾が小さい時は殺虫剤の散布が必要になります。

また、ユリは年により休眠することがあります。1年だけではなく10年くらい芽を出さず、忘れたころに突然花を咲かせることもあります。

水やり

葉や茎を見て、はりがなくしんなりとしていたら、夕方涼しくなってから水やりをします。葉に水滴がついている状態で、気温が25°C以上になると灰色かび病になりやすく、病斑で見苦しくなります。薬では止められない病気のため、芽や葉についた水滴をふるい落としてください。

施肥

地植えではタネの採取後、草と一緒に地上部を刈り取り、12月上旬にリン酸とカリが多い化成肥料(イモ用の肥料)を元肥としてまいておきます。鉢植えでは、マグアンプKを入れてあれば2年間は植え替えや追肥の必要はありません。

鱗片繁殖

秋に球根を掘り上げ、今年伸びた茎が出てくるまで鱗片をはがし、少し水で湿らせたバーミキュライトに混ぜてビニール袋に入れ、20〜25°Cの暗い所で管理します。翌春に播種箱に植え替え(鱗片の内側を上向きにする)、育苗して秋に植え付けます。ただし、ササユリは球根が小さいので、鱗片繁殖は不向きです。

タネまき

オリエンタル系のタネまきは袋まきが安心です。秋に採取した蒴からタネを取り出し、紙の上に広げてよく乾燥させます。シイナ1を取り除き、少し湿らせたバーミキュライトとタネを混ぜ、ビニール袋に入れて8月末まで冷暗所に置いておきます。 9月初めにマグァンプKを下の方に入れた土や砂にバーミキュライトごとまき、軽く毅土をしてください。9月中旬には白い米粒くらいの小球ができます。アジアティック系は、まくとすぐ1枚葉が出るので、秋になるべく早くとりまきします。

  1. 胚乳や胚が入っていない種皮だけのもの。これが混ざるとかびが発生する。 ↩︎

タネまきは湿らせたバーミキュライトとタネを混ぜ、ビニール袋に入れて冷暗所で保管。9月初めに外に出して、単用土にバーミキュライトごとまき、軽く毅土する。