ユリの種子

花が咲いた後には蒴(さく)と呼ばれる果実ができて、成熟すると裂けて中の種子がこぼれます。ヤマユリの場合、ひとつの蒴に300ぐらいの扁平な種子が並んで入っています。

種子の周囲の種皮は薄い翼となり、風に乗って飛ばされやすい形をしています。

種子の発芽

発芽の様式は大きく2つに分けられます。

「地上発芽型」は、地上部に細い棒状の子葉を発芽させ、その基部がふくらんで鱗片(球根)ができて本葉を出します。テッポウユリ、タカサゴユリ、リーガルリリーなど。

「地下発芽型」は、子葉が地上に出ないで下に潜り込んで球根を作り、本葉を出します。ヤマユリ、ササユリ、オトメユリ、カノコユリなど。

さらに、水と適温があればすぐ発芽できる「速発芽」と、休眠により発芽まで長期間掛かる「遅発芽」に分かれます。

ヤマユリ、ササユリなどは「地下遅発芽」です。休眠打破に夏の高温と冬の低温が必要なため、地上に発芽するまで1年半掛かります。人工的に温度処理すれば、1年短縮して翌年春に地上発芽させることも可能です。

ユリの球根

ユリの球根は、葉の変形した鱗片が何枚も重なり、養分を貯蔵しています。球根の形そのものが、他の球根植物とかなり違っており、植物学的には鱗茎(Bulb)といいます。

小指の頭くらいでも花を咲かせるオトメユリ、握りこぶしより大きな球根のサクユリなど、種類によって球根の大きさはかなり差があり、形や色も微妙に違っています。

ユリの根と茎

チューリップやスイセンの根は、球根の下から出る根だけですが、ユリの場合は、球根の下から出る「下根(したね)」と、球根から伸びた茎の下部につく「上根(うわね)」の2段構えになっています。

下根は鱗茎を支えるだけでなく、地中深くに引き込む機能があり、牽引根(けんいんこん)と呼ばれます。

球根が小さいうちは下根だけですが、球根が大きくなって茎立ちしてくれば上根が出ます。茎立ちする球根の目安はヤマユリやササユリで5gです。

上根は水分や養分を吸収する役割があり、茎立ちして上根が張ると球根は急激に大きくなります。

秋になると茎が枯れて上根もなくなりますが、下根は残ります。

一部の種類は、地中で横に匍匐茎(ほふくけい)を出して、球根を植えた場所から離れたところから芽を出します。コオニユリ、エゾスカシユリ、イワトユリなどで、球根が移動するように感じます。群生する種類です。

球根の肥大と更新

球根は、中心に新しい鱗片を作りながら大きくなります。最初は鱗片の数が増えるだけですが、茎立ちすると急に太くなり、来年用の球根を作るようになります。

春の新芽が伸びきった頃、鱗片の中の抽出茎の付け根のところに、新しい球根ができ始めます。晩秋〜冬に地上部が枯れるまでの間、葉の光合成で作った養分は球根に蓄積されます。

新しい球根は立派に生長し、翌年はそこから芽が出ます。去年の鱗片は新しい球根の外側に押しやられる形で、それぞれ大きく肉厚になってくっついています。

外側についた古い鱗片は、翌年の茎立ちや花を咲かせる栄養源になります。使用済みの鱗片は紙のように薄くなり枯れていきます。

花芽分化

植物の成長点が特定の条件で変化し、花芽を形成することを「花芽分化」といいます。

多くの種類では、芽が出て茎を伸ばす途中で、それぞれの花芽分化の適温になった時に花芽ができます。オトメユリのように、球根内の芽の中で前年のうちに花芽分化を完了させる種類もあります。

花芽分化する温度は10〜20℃ですが、ヤマユリやカノコユリなどのように遅咲きの種類は、比較的高温を要し、早く咲くヒメユリやスカシユリは、低温で花芽ができると考えればよいでしょう。